悲報 電子地域通貨システムのメリット・問題点、経済活性化の救世主?現場の担当者からは悲鳴が!!

観光情報

 電子地域通貨が全国の市町村でのコロナ経済対策の一つとして話題であるが、現場の担当者、特にそのポイント付与実務を行うスタッフからは様々な不満が出ている。メリットと問題点について述べたい。

 


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電子地域通貨とは?

 電子(デジタル)地域通貨をご存知であろうか? コロナ対策の一つとして全国の市町村等自治体で導入された電子通貨(ポイント)のこと。観光地であれば、宿泊者等にポイントを付与し、そのポイントで地元商店などで買い物をしてもらい、地域経済の活性化につながるというものである。

 参加する各市町村では、独自のキャラクター、ネーミングで特徴を出し、親しみやすさを強調している。

https://chiica.jp/

地域通貨プラットフォームサービスを展開している「chiica」(チーカ)は現在30の市町村が導入しているサービスである。

 


自治体側から見た電子地域通貨のメリットとは?

 ・従来の紙式商品券発行と異なり、迅速かつ少ない業務負担で商品券事業を展開できる。

 ・特定業種、例えば飲食店や宿泊業など に絞って支援ができる。

 ・経済的困窮者などへの助成金として使える。

 群馬県沼田市では、この「chiica」をプラットフォームにして、「沼田市電子地域通貨tengoo(てんぐー)」を展開している。

https://www.city.numata.gunma.jp/jigyosha/chusho/yushi/1010407/index.html

 さらにこのtengooが、群馬県のコロナ対策観光業活性化事業である「愛郷ぐんまプロジェクト」

https://gunma-dc.net/featurecat/aikyougunma/

との相乗り上乗せ企画として、沼田市内宿泊施設利用者へtengoo3000ポイント付与する事業が始まった。

 


利用される現場から見た電子地域通貨の問題点

 ところが、せっかくの良い企画でありながらも、現場特にポイントを付与する立場にある宿泊施設の担当者から悲鳴があがった。

 せっかく3000ポイントゲットする権利はあるものの、以下の理由により付与がされず、お怒りになるお客様が宿泊施設の現場で多発しました。「なんでもらえないのか?」「高齢者をバカにしてる!」と。

1)スマートフォンを持っていない

 そもそも携帯電話自体を持たない方がおられる。特に高齢者の方。「chiica」というアプリは、AndroidまたはiPhoneといういわゆる「スマホ」でなければインストールできない。ぱかっと開くいわゆる「ガラケー」ではだめな場合がある。携帯電話特にスマホが必須となる。ここが第一関門。

2)「chiica」アプリをインストールできない

  次にこの電子地域通貨のプラットフォームである「chiica」のインストールで引っかかる。「娘に言われたのでiPhone持ってる」はいいのだが、インストールの途中でパスワードの入力を求められるが、「パスワードなんて知らない!」。これではいくら現場スタッフがお手伝いしようにも、知らないものを入力することもできず、これ以上は「無理です」。ここでこのパスワードがちゃんと入力できて、インストールができれば、続けて「tengoo」のインストールは容易くできる。ここまでくれば、ほぼ間違いなくポイントゲットまでたどり着ける。

3)手間(時間)がかかる

 宿泊施設でチェックイン時にこの作業をフロントが混雑する中で対応することは困難を極める。ITに明るいスタッフがいる施設でも、どうしても対応に15分からとられるので、「フロントでのインストール作業はご指導できません」「部屋に入ってからマニュアル見ながらゆっくり行ってください」となる。しかし多くの方は上記の1)で引っかかる。宿泊施設側からは、「市担当者が観光協会に待機して対応せよ!」なんて言う人もいるが、そもそもパスワードを忘れていたり、設定していなかったり、それを知らない人のスマホに他人がインストールすることなど不可能である。

 どんなに宿泊施設側で良いサービスをと頑張っても、最後にここでお怒りになり、「二度と来るか!!」とまでいうお客様も。全く何のためのポイント特別付与なのか。もちろん全員のお客様がこういうわけではない。大多数のお客様からは、「すごいサービスですね!」「沼田市太っ腹!!」と喜ばれているのも事実である。

 


改善策の提言

 無理を承知であえて申し上げます。インストールができないお客様へは「紙券」で対応するしかないでしょう。もちろん印刷代、しかも偽造防止やシリアルナンバー印字などで高額な追加支出になること必至。さらにその清算方法をどうするか。税金を使った事業なので当然シビアに行わなければならず、事務作業への人件費も発生するでしょう。スピード感と付与ポイントを少しでも多くしたいという市担当者からすれば、時間も費用もかかる紙券の作成などは当然あり得ない話です。

 


まとめ

 事業開始当初から話題になっていたことではあるこの問題。サービス業対象事業でありながら、IT弱者、高齢者を最初から切り捨てた施策であるとの批判は免れない。今後ももしこのような施策・事業を行うのであれば、前もって現場担当者からの意見聴取は必要であろう。過去の事例では、事後の決定報告がほとんどであって、意見聴取ではないことが多い。次回はいつ行われるのか、それは知らないが、次は期待したい。

 

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